第7章

絵里視点

それから数週間、私の生活は奇妙なサイクルに陥った。

化学療法の副作用は日に日に悪化し、私は死との綱引きを続けていた。さらに悪いことに、貯金はほとんど底をついていた。保険で賄えるのは費用の一部だけ。治験薬や特別なケアには、べらぼうな金額がかかったのだ。

真理子は助けたいと言ってくれたが、私は断った。彼女の人生には、もう十分すぎるほどの迷惑をかけていたから。

来月の医療費をどうしようかと悩んでいた矢先、和也がまたドアの前に現れた。

今回は騒ぎ立てるでもなく、ただ静かに白い薔薇を抱えて立っていた。やつれた顔には無精髭が伸び、目の下には濃い隈ができていた。

「入っても...

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